後ろ向きで靴を脱ぐ人
「これは気をつけた方がいいよってことある?」
春休みに入ってから早3ヶ月、コロナ禍で会えないお友達から、お家に遊びにおいでと招かれた11歳の息子。低学年の頃は本人気にもとめなかった、“よそのお家にお邪魔する際のマナー”について質問だ。
GLOBAL STYLE ACADEMY(イメージコンサルタント養成スクール)でも立ち居振る舞いや食事のマナーを教えているのだから、ここはいっちょ役立つことを教えなきゃ💪
「冷蔵庫にあるものを、勝手に開けて食べない。」
「トレイで用を足したら流して帰る。」
「あとはそうだなぁ…」
横から口を挟んでくる人のしょうもないアドバイスは無視して私は考える。
「う〜ん、なんだろうねぇ・・・。別のご家族、例えばお父さんが帰っていらしたりご兄弟が通りかかったりした時は「お邪魔しております」とご挨拶ね。」
「そうそう!お宅にあがる時は、靴を脱いで上がってから、膝をついて、手で靴を揃える。後ろ向きで靴は脱がないよ。ママがお店のお手洗いで下駄やサンダルを後ろ向きで脱いでいるけど、あれは共用サンダルを手で触りたくないからだから。アレは特別。アレは例外。」
なーんて言いながら、親からの躾よりも同調圧力に負けた20年近く前のわたしを思い出した。
会社の飲み会の居酒屋で、続々と後ろ向きで靴を脱ぐ先輩に続いて、自分も後ろ向きに靴を脱いで小上がりの座敷に上がった。
いま思い返すと笑ってしまう。外国人が見たら、続々と後ろ向きで部屋に吸い込まれていくジャパニーズビジネスマンたち。確かに「Oh, イッツヴェリー合理的!帰る時にすぐに靴を履けちゃいマース!」
料亭でも、居酒屋でも、下駄番をしてくださる人がいるお店なら正面から上がって(あげていただく先の家主の方にお尻を向けるのは失礼)、靴の片付けは係りの人にお任せしてOK。兎にも角にも後ろ向きで入るのが正しい部屋なんてないし、後ろ向きで入るのが正しいビジネスシーンもない。
でも、新米社員だったんだもん、私。一人だけ前向きに上がって、手で靴を揃えたら、集団に馴染まない自己主張行為になりかねないと、属する集団の秩序を乱さず適合せねばと思ったのよ、きっとその時の私。
村八分を怖れるが為の秩序ではなく、他者への思いやりからくる秩序が大切。当時の私に教えてあげたい。
よそのお宅にお邪魔する時は、脱いだ靴は端に寄せる(下駄箱側か、飾り棚の反対側に)のもお忘れなく!飾り棚付き下駄箱の場合は、その下駄箱は飾り棚と判断し、その反対側が靴を寄せるべき下座。